遺伝子検査結果、健康アプリなど外部サービスと連携する際のプライバシーは?
遺伝子検査の結果を健康アプリなどで活用するときのプライバシーについて
遺伝子検査を受けた後、「結果を健康管理アプリや他のサービスでも使ってみたい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ご自身の体質や傾向をもっと詳しく知るために、他のサービスと連携させることに興味を持つのは自然なことです。
しかし、ご自身の遺伝子データという非常に重要な情報を、外部のサービスと共有することに対して、「プライバシーは大丈夫なのだろうか」「どんな情報が共有されるのか」といった不安を感じる方もいらっしゃると思います。
ここでは、遺伝子検査の結果を健康アプリなどの外部サービスと連携させる場合に、どのような点に注意すれば良いのか、プライバシーはどのように考えられているのかについて、分かりやすくお話しします。
なぜ健康アプリなどに遺伝子データを連携させる機能があるの?
健康アプリなどが遺伝子データとの連携機能を提供しているのは、遺伝子情報と日々の体調や生活習慣の記録(食事、運動、睡眠など)を組み合わせることで、より personalised な(その方一人ひとりに合わせた)健康アドバイスや分析ができるようになるからです。
例えば、特定の栄養素の分解に関わる遺伝子のタイプが分かれば、食事記録と組み合わせて、より効果的な食生活のアドバイスにつなげることが考えられます。運動の効果に関する遺伝子のタイプが分かれば、運動記録と組み合わせて、より効率的なトレーニング方法を提案できるようになるかもしれません。
このように、遺伝子データを他のデータと組み合わせることで、今まで以上にきめ細やかな情報提供やサービス開発が可能になることから、連携機能が提供されています。
連携する際、どんな情報が共有されるの?
遺伝子検査サービスと健康アプリなどの外部サービスを連携させる際に、どのような情報が共有されるかは、連携するサービスの種類や、お客様が同意する内容によって異なります。
一般的には、以下のような情報が含まれる可能性があります。
- 遺伝子検査の解析結果そのもの: 特定の体質や病気のリスクなどに関する分析結果データです。
- 遺伝子の生データ(ローデータ): 検査で読み取られた一つひとつの遺伝子配列情報そのものです。これは非常に詳細な情報を含みます。
- 検査番号やお客様ID: 連携先サービスがお客様を識別するために使用する番号です。
ただし、お客様の氏名や住所など、遺伝子データと直接結びついて個人を特定できる情報が、お客様の同意なく勝手に連携先サービスに提供されることは、通常はありません。連携時には、「どの情報を」「どのサービスに」「どのような目的で」提供することに同意するのかが示されますので、その内容をしっかりと確認することが大切です。
連携先サービスでのデータの扱いは?プライバシーはどう守られる?
遺伝子データを含む個人データを扱うすべての事業者は、日本の「個人情報保護法」や関連するガイドラインを遵守する義務があります。また、遺伝子データは「要配慮個人情報」(取り扱いに特に注意が必要な情報)として法律で定められており、取得する際には原則としてお客様本人の同意が必要です。
健康アプリなどの連携先サービスがお客様の遺伝子データを受け取る場合も、同様に個人情報保護法に従う必要があります。
- 同意の取得: 連携する際には、連携先サービスがお客様の遺伝子データを取得・利用することについて、必ずお客様の同意を得る必要があります。同意する前に、どのようなデータが、どのような目的で使われるのか、利用規約やプライバシーポリシーをよく確認できるようにしています。
- 利用目的の特定: 連携先サービスは、お客様から同意を得た範囲や目的以外で遺伝子データを利用することはできません。
- 安全管理: 遺伝子データを含むお客様の情報を、不正アクセスや漏洩から守るために、技術的・組織的な安全対策(例:データを暗号化して保管する、アクセスできる人を限定するなど)を講じる必要があります。
- 第三者提供の制限: お客様から同意を得た連携先サービス以外に、お客様の同意なく遺伝子データを勝手に第三者(他の企業や個人など)に提供することは、原則として法律で禁止されています。
ただし、サービスによっては、遺伝子データから個人が特定できないように加工した「匿名加工情報」として、統計分析やサービス改善のために利用する場合があります。このような利用についても、通常はサービス規約やプライバシーポリシーに記載されていますので、事前に確認することが推奨されます。
連携前に確認すべきポイントは?
遺伝子検査の結果を健康アプリなどの外部サービスと連携させるかどうかを決める前に、以下の点をぜひご確認ください。
- 連携によって何ができるようになるのか: 連携によって具体的にどのようなメリットがあるのか、どのようなサービスが受けられるのかを理解しましょう。
- どの情報が提供されるのか: 遺伝子データの中でも、結果の概要だけなのか、詳細な生データも含まれるのかなど、提供されるデータの範囲を確認しましょう。
- 連携先サービスは信頼できるか: 連携先サービスを提供している会社の信頼性や実績について調べてみるのも良いでしょう。
- データの利用目的と範囲: 連携先サービスがお客様の遺伝子データを何のために、どのように利用するのか、利用規約やプライバシーポリシーで具体的に確認しましょう。「サービス改善」「統計分析」といった一般的な表現だけでなく、具体的にどのような活用が想定されているのか読み解くことが大切です。
- 提供したデータの削除や利用停止は可能か: もし連携を解除したい場合や、提供したデータを連携先サービスから削除してほしい場合に、それが可能なのか、どのような手続きが必要なのかを確認しておきましょう。サービスによっては、一度提供した匿名加工情報は元に戻せないため削除できない、といったルールがある場合もあります。
- 問い合わせ窓口があるか: データの取り扱いやプライバシーについて不明な点があった場合に、どこに問い合わせれば良いのか、窓口があるか確認しておくと安心です。
これらの情報は、通常、連携を行う際の同意画面や、連携先サービスの利用規約、プライバシーポリシーなどに記載されています。少し専門的に感じるかもしれませんが、ご自身の重要な情報を守るために、内容をよく読んで理解しようと努めることが大切です。
もし不安になったら?
もし、連携した後にデータの取り扱いに不安を感じたり、連携を解除したいと思ったりした場合は、いつでも同意を撤回したり、提供したデータの削除を求めたりできるかを確認しましょう。
多くのサービスでは、お客様自身の意思でデータの利用に関する同意を管理できるようになっています。まずは、連携したサービスの設定画面や、利用規約に記載されている問い合わせ窓口に相談してみるのが良いでしょう。
まとめ
遺伝子検査結果を健康アプリなどと連携させることで、より便利なサービスを受けられる可能性があります。しかし、ご自身の遺伝子データを外部に提供するということは、プライバシーの観点から慎重に検討すべき事項です。
連携する際には、どのような情報が共有され、連携先サービスがその情報をどのように扱うのかをしっかりと理解し、納得した上で同意することが大切です。利用規約やプライバシーポリシーを確認すること、もしもの場合のデータの削除や利用停止の可能性を確認しておくことが、安心してサービスを利用するための重要なステップとなります。
ご自身の遺伝子データを賢く、そして安全に活用するために、連携のメリットだけでなく、データの取り扱いについても関心を持っていただくことを推奨いたします。