遺伝子データ活用Q&A:私の遺伝子データ、将来、新しい目的で使われる可能性はある?同意の範囲はどこまで?
遺伝子検査サービスを利用する際、「自分のデータが将来、どのように使われるのだろうか」とご心配になることがあるかもしれません。特に、検査時には想定していなかった新しい目的で、将来データが使われる可能性があるのか、一度同意したらその同意はいつまで、どんな範囲で有効なのか、といった点が気になる方もいらっしゃるかと思います。
この疑問について、遺伝子データがどのように扱われるかの基本的な考え方と、安心してサービスを利用するために知っておきたいポイントをお伝えします。
あなたの遺伝子データは、原則として同意した目的以外には使われません
遺伝子データを含むあなたの個人情報は、法律(個人情報保護法)によって守られています。サービスを提供する会社は、あなたのデータを取得する際に、どのような目的でデータを利用するのかを明確に伝える必要があります。そして、その目的のために利用することに、あなたの同意を得なければならないのが基本的なルールです。
これは、あなたがサービスを利用して遺伝子検査を申し込む際に、「利用規約」や「個人情報の取り扱いについて」「同意事項」といった形で示され、あなたが確認して同意することでサービスが提供されます。
つまり、あなたが同意した範囲や目的にしたがって、あなたの遺伝子データは利用されることになります。
もし将来、新しい目的でデータが利用されることになったら?
もし、サービスを提供している会社が、あなたが遺伝子検査を申し込んだ際には想定していなかった「新しい目的」であなたの遺伝子データを利用したいと考えた場合、どうなるのでしょうか。
法律では、あなたが同意した利用目的の範囲を超えてデータを利用することは、原則として認められていません。
そのため、もし会社が新しい目的であなたのデータを利用したいと考えた場合は、改めてあなたにその新しい目的を伝え、改めて同意を得る必要があるのが一般的な考え方です。あなたがその新しい利用目的に同意しない限り、あなたのデータがその新しい目的に使われることはありません。
これは、例えば将来、全く新しい病気の研究のためにあなたの遺伝子データが役立つ可能性がある場合や、新しいサービス連携によってあなたのデータが活用される可能性がある場合などが考えられます。その都度、会社はあなたに連絡を取り、内容を説明し、同意を求める手続きを行うことになります。
ただし、「匿名加工情報」としての利用には注意が必要です
「匿名加工情報」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、特定の個人を識別できないように、また、元の個人情報を復元できないように加工された情報のことを指します。
あなたの遺伝子データも、氏名や住所といった他の情報と切り離され、さらに個人が特定できないように加工された上で、「匿名加工情報」として、統計的な分析や新しいサービスの開発などに利用されることがあります。
この「匿名加工情報」としての利用については、あなたの同意がなくても利用できる場合があります。ただし、その場合でも会社は、匿名加工情報を作成したことや、どのような情報が含まれているか(例:特定の遺伝子の傾向、年齢層など)といったことを、サービスのウェブサイトなどで公表する義務があります。
重要なのは、匿名加工情報はあなた個人を特定できない形になっているということです。もしあなたの遺伝子データが匿名加工情報として利用されているとしても、それが「あなたのデータである」と誰かに特定されたり、それによってあなたが不利益を被ったりする可能性は極めて低いと考えられます。
多くの遺伝子検査サービスでは、利用規約やプライバシーポリシーの中で、個人を特定しない形(匿名加工情報や統計情報)でのデータの取り扱いについて説明しています。これは、多くの人のデータを集めて分析することで、病気の原因解明や新しい予防法の開発など、社会全体の利益につながる研究開発を進めるために重要な取り組みとされています。
安心するために、あなたが確認できること
将来的なデータの利用について心配な場合は、以下の点を確認することが役立ちます。
- 利用規約やプライバシーポリシーを確認する: サービス利用時に同意した規約やポリシーには、データの利用目的や、匿名加工情報としての利用について詳しく記載されています。将来の利用に関する会社の考え方を知る手がかりになります。
- 同意内容を確認・変更する: 多くのサービスでは、マイページなどであなたが同意した内容を確認できるようになっています。また、一部の利用(例:研究開発への利用など)について、後から同意を撤回したり、利用を停止したりできる「オプトアウト」(利用をやめる手続きのこと)の仕組みを提供している場合があります。
- サービス提供会社に問い合わせる: 規約を読んでも分からない点や、将来的なデータの取り扱いについて具体的な疑問があれば、遠慮なくサービス提供会社に問い合わせてみましょう。丁寧な説明を受けることで、不安が解消されることもあります。
まとめ
あなたの遺伝子データは、あなたが同意した目的の範囲で利用されるのが基本です。もしサービス提供会社が将来、新しい目的でデータを利用したいと考えた場合は、原則として改めてあなたの同意が必要になります。
ただし、個人を特定できないように加工された「匿名加工情報」としての利用については、同意がなくても行われる場合がありますが、これはあくまで個人が特定されない形での利用です。
大切なのは、サービス利用時に規約などをしっかりと確認し、不明な点があれば会社に問い合わせることです。多くのサービスは、あなたのプライバシーを守るための取り組みを行っており、法律にもとづいて適切なデータの取り扱いを心がけています。
あなたが安心して遺伝子データを活用できるよう、今後も正確な情報をお届けしてまいります。