データゲノムQ&A:私の遺伝子データ、検査会社から大学や研究機関に提供される?同意やプライバシーは?
遺伝子検査サービスを利用する際に、「私のデータは将来、研究のために大学や研究機関に提供されるのだろうか?」「その場合、私のプライバシーは守られるのか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この疑問について、遺伝子データがサービス提供者から外部機関へ提供される可能性と、その場合の同意の考え方やプライバシー保護についてご説明します。
なぜ、私の遺伝子データが外部の機関で使われる可能性があるのでしょうか?
遺伝子データは、私たちの体や健康について多くの情報を含んでいます。これらのデータをたくさんの人から集めて詳しく調べることで、特定の病気の原因を特定したり、新しい治療法や薬を開発したりといった研究が進められています。
サービスを提供する検査会社だけではなく、大学や国の研究機関、製薬会社なども、このような研究のために遺伝子データを求めている場合があります。検査会社が協力することで、より大規模で多様なデータが集まり、研究がさらに進むことが期待されます。
そのため、皆さんが遺伝子検査サービスに同意する際に、将来的に研究目的で外部機関にデータが提供される可能性について説明があり、その同意を求められることがあります。
外部の機関に提供されるのは、私の名前や住所が載ったそのままのデータですか?
多くの遺伝子検査サービスでは、外部の研究機関などにデータを提供する際に、個人が特定できないように加工されたデータが使われます。
具体的には、「匿名加工情報(とくめいかこうじょうほう)」と呼ばれる形にすることが一般的です。匿名加工情報とは、特定の個人を識別できる情報(名前、住所、連絡先など)を削除したり、他の情報と組み合わせても個人を特定できないように加工したりした情報のことです。
例えば、「40代、女性、喫煙習慣なし、特定の遺伝子タイプを持つ人が、〇〇病にかかりやすい傾向がある」といった分析はできても、「このデータは〇〇県の佐藤裕子さんのものだ」とは分からないように処理されます。
ただし、どのような加工が行われるか、どのレベルで匿名化されるかは、サービスの規約や具体的なデータの利用目的に応じて異なります。サービスによっては、個人を特定する情報を削除した上で、データの分析に必要最低限の情報(年齢層、性別など)は残されることもあります。
データが外部機関に提供される場合、どのような同意が必要ですか?
遺伝子データが外部機関に提供される可能性については、通常、サービス利用開始時の「同意事項」や「プライバシーポリシー」の中で説明されています。
重要なのは、この同意が「どのような目的で」「どのような形で(匿名加工情報かなど)」「誰に(どのような種類の外部機関に)」データが提供される可能性があるかについて、具体的に説明されているかを確認することです。
多くの場合、研究目的での匿名加工情報の提供については、サービス利用開始時の包括的な同意に含まれていることがあります。しかし、より個人が特定される可能性のある形での提供や、同意の範囲を超える利用が行われる場合には、改めて個別の同意が求められることが法律で定められています。
ご自身のデータが外部に提供されることに不安を感じる場合は、サービスの同意事項やプライバシーポリシーをよく読み、どのような場合に、どのような形でデータが使われる可能性があるのかを理解しておくことが大切です。不明な点は、サービスの相談窓口に問い合わせて確認することもできます。
外部機関に提供された私のデータは、そこで安全に扱われるのでしょうか?
外部機関に提供された匿名加工情報についても、個人情報保護法などの法令に基づき、厳格な管理が求められています。
データを受け取った研究機関などは、提供されたデータを使って個人を特定する行為や、不正な目的での利用が禁止されています。また、データの漏洩などを防ぐためのセキュリティ対策を講じる義務があります。
サービス提供者である検査会社は、データを外部に提供する際に、提供先の機関が適切なセキュリティ対策やデータ管理体制を整えているかを確認することが一般的です。
しかし、万が一、提供先の機関でデータ漏洩などが起こる可能性もゼロではありません。そのため、サービスを選ぶ際には、提供先となる可能性のある機関の種類や、そのサービスがどのような情報管理体制を整えているかといった点も、安心材料の一つとして確認すると良いでしょう。
私のデータが外部提供されることについて、後から同意を変更したり、止めたりすることはできますか?
多くの遺伝子検査サービスでは、利用規約やプライバシーポリシーの中で、データ利用に関する同意の撤回や変更について説明しています。
研究目的でのデータ利用や外部提供に関する同意についても、後から撤回できる仕組みを提供しているサービスが多いです。同意を撤回した場合、それ以降、皆さんのデータが新たな研究などに利用されたり、外部に提供されたりすることはなくなります。
ただし、同意を撤回する前にすでに行われた研究での利用や、外部に提供されてしまった匿名加工情報については、データを取り戻したり削除したりすることが難しい場合があります。匿名加工情報は個人が特定できないように加工されているため、どのデータが自分のものかを特定することが困難になるためです。
同意の撤回手続きや、撤回した場合にデータがどう扱われるかについては、サービスの規約やウェブサイトで確認できます。もし、将来的なデータ利用について不安を感じるようであれば、同意の範囲を限定したり、利用を停止したりする選択肢があるかを確認しておくと良いでしょう。
まとめ:外部提供について知っておきたいこと
- 遺伝子データは、研究の進展などの目的で、匿名加工情報の形で大学や研究機関に提供される可能性があります。
- 外部提供については、サービスの同意事項やプライバシーポリシーに説明されていることが一般的です。どのような形で、誰に提供される可能性があるかを確認しましょう。
- 匿名加工情報は、個人を特定できないように加工されたデータですが、その加工レベルはサービスによって異なります。
- データを受け取った外部機関も、法令に基づきデータの適切な管理やセキュリティ対策が求められます。
- 多くのサービスで、データ利用に関する同意を後から撤回することが可能です。ただし、匿名加工情報として提供済みのデータについては、取り扱いが異なる場合があります。
ご自身の遺伝子データがどのように活用されるかを知り、提供される仕組みやプライバシー保護について理解を深めることは、安心してサービスを利用するために大切なことです。サービスを選ぶ際や、利用中に疑問を感じた際には、規約を確認したり、サービス提供者に問い合わせたりすることをお勧めします。