遺伝子データ活用Q&A:遺伝子検査で「同意します」ボタン、どんな利用に同意したことになるの?
遺伝子検査に興味はあるけれど、申し込む際に表示される「同意します」というボタンを押すのが少し不安だと感じていませんか?自分の大切な遺伝子データが、後から思いもよらない形で使われてしまうのではないかと心配になるかもしれません。
ここでは、遺伝子検査サービスを利用する際の「同意」が何を意味するのか、そしてあなたのデータがどのような目的で利用されることに同意することになるのかを、分かりやすくご説明します。
なぜ「同意」が必要なのでしょうか?
遺伝子データは、個人の体質や健康に関わる非常に機密性の高い情報です。このような情報は「要配慮個人情報」と呼ばれ、法律(個人情報保護法)によって特に慎重な取り扱いが求められています。
サービスを提供する会社が、あなたの遺伝子データを含んだ個人情報を利用するためには、原則としてあなたの明確な許可、つまり「同意」が必要になります。この同意があることによって、会社は法律に基づいてサービスを提供したり、より良いサービス開発のためにデータを活用したりすることができるようになります。
「同意します」ボタンで、具体的にどんな利用に同意することになるの?
「同意します」ボタンを押すことで同意する内容は、利用する遺伝子検査サービスによって異なります。大切なのは、サービスごとに定められた「利用規約」や「プライバシーポリシー」といった書類に、具体的にどのような目的であなたのデータが利用されるのかが書かれている、ということです。
これらの書類には、主に以下のようなデータの利用目的が記載されていることが多いです。
- 検査結果の提供:
- これは、あなたがサービスに申し込んだ最大の目的でしょう。あなたの遺伝子データをもとに解析を行い、その結果(例えば、病気のかかりやすさや体質の傾向など)をあなたにお知らせするためにデータが利用されます。これはサービスの根幹であり、ほとんどの場合、同意が必須となります。
- サービスの改善や新しいサービスの開発:
- 多くのサービスでは、より便利で精度の高いサービスを提供するために、利用者のデータを集計・分析して活用しています。この場合、あなたのデータが他のたくさんの人のデータと一緒にまとめられ、個人が特定できないように特別に加工された状態(これを「匿名加工情報」や「統計情報」などと呼びます)で利用されることが一般的です。例えば、「〇〇という遺伝子タイプを持つ人は、日本全体で何パーセントくらいいるか」「特定の生活習慣と遺伝子の関連性はどのくらいか」といった傾向を調べるために使われます。
- 新しい病気の原因や治療法などの研究:
- サービスによっては、医療や健康分野の発展に貢献するため、アカデミア(大学などの研究機関)や他の企業と連携して、あなたの遺伝子データを研究目的で利用する場合もあります。この場合も、通常は個人が特定できないように加工されたデータが使われ、あなたの名前などが研究者に直接伝わることはありません。この研究目的でのデータ利用については、サービスによっては同意が必須ではなく、後から同意したり、同意を取り消したり(「オプトアウト」といいます)できる場合もあります。
- 提携企業からの情報提供:
- まれに、サービスによっては、提携する他の健康関連サービスなどからのお得な情報をお知らせするために、あなたの遺伝子タイプに関連する情報が使われる場合があります。ただし、この場合もあなたの遺伝子データそのものが直接提携先に渡されるのではなく、サービス提供会社があなたにおすすめ情報を選んで表示するといった形が一般的です。この利用についても、同意が必須ではなく、あなたが情報提供を希望しない場合はいつでも停止できる仕組み(オプトアウト)が用意されていることが多いです。
あなたのデータが「勝手に誰かに売られる」といった心配をされる方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの信頼できるサービスでは、規約に明記されていない目的であなたのデータを第三者に提供することは原則としてありません。
どこで同意内容を確認すれば良いの?
「結局、どんな利用に同意したか、どこを見れば分かるの?」と思われるかもしれません。同意の内容が詳しく書かれているのは、以下の書類です。
- 利用規約
- プライバシーポリシー(または個人情報保護方針)
これらは、サービスに申し込む際の画面や、サービスのウェブサイト上で必ず確認できるようになっています。全ての項目を読むのは少し大変かもしれませんが、特に以下の点に注目して見てみることをおすすめします。
- 個人情報の利用目的: あなたの遺伝子データを含む個人情報が、具体的にどのような目的で使われるのかが書かれています。
- 第三者への提供: あなたのデータが、サービス提供会社以外の第三者(他の企業や研究機関など)に提供される可能性があるか、ある場合はどのような場合に提供されるのかが書かれています。
- 研究開発への利用: あなたのデータが、サービスの改善や新しい知見の研究のために利用されるか、利用される場合のデータの形(匿名加工情報かどうかなど)、そしてその利用に同意するかどうかを選べるか(オプトアウトできるか)などが書かれています。
同意した後に考えが変わったら、同意を取り消せる?
一度「同意します」ボタンを押した後でも、原則としてあなたの同意はいつでも撤回することができます。これも法律で認められている大切な権利です。
同意を撤回したい場合は、サービスの利用規約やウェブサイトに記載されている手続きに従って行うことになります。ただし、サービス提供に不可欠な利用目的(例:検査結果の提供)に対する同意を撤回すると、サービスの全部または一部が利用できなくなる可能性があります。
また、研究目的でのデータ利用など、サービス利用に必須ではない利用については、「オプトアウト」という形でいつでも同意しない、または同意を撤回する選択肢が用意されている場合があります。
まとめ:あなたのデータを守るために
遺伝子検査における「同意」は、サービスを安全に利用し、自分の大切な遺伝子データがどのように使われるかを自分で把握し、コントロールするための最初のステップです。
「同意します」と押す前に、利用規約やプライバシーポリシーに目を通し、「自分のデータがどんな目的で使われるのか」「個人が特定されない形で研究などに使われることに同意するかどうか選べるか」といった点を確認することが、漠然とした不安を解消し、安心してサービスを選ぶための大切な判断材料になります。
もし規約を読んでも分からない点があれば、遠慮せずにサービス提供会社に問い合わせてみることをおすすめします。疑問点を解消することで、より安心して遺伝子検査サービスを利用できるようになるでしょう。