遺伝子データ、退会以外に「消去」はできる?違いと手続きを解説
遺伝子検査サービスを利用した後、「もうこのデータを使われたくないな」「完全に自分の手元から離してしまいたい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。多くの方がまず考えるのは「退会」ですが、サービスを退会するだけで、ご自身の遺伝子データが完全に消去されるのかどうか、少し分かりにくいと感じることもあるようです。
この記事では、遺伝子検査サービスの「退会」と、遺伝子データの「消去」がどう違うのか、そしてもしデータを完全に消去してもらいたい場合、どのようにすれば良いのかを、分かりやすくご説明します。
退会するだけではデータは消えないことがあるのはなぜ?
サービスの「退会」は、一般的に、そのサービスの提供を受ける契約関係を終了させたり、アカウントを利用できなくしたりする手続きを指します。これにより、サービスからのメール通知が停止されたり、マイページにログインできなくなったりします。
しかし、サービスの退会が、必ずしもあなたの遺伝子データを含む全ての個人情報がサービス提供者から完全に消去されることを意味するわけではありません。これにはいくつかの理由が考えられます。
- サービス運営上の必要性: サービスの維持管理や将来的な改善のために、個人を特定できないように加工されたデータ(匿名加工情報などと呼ばれます)を保管し、利用する場合があります。
- 法令遵守: 特定の法律により、一定期間、顧客に関する情報を保管することが義務付けられている場合があります。
- 規約による違い: サービス提供者によって、退会時のデータの取り扱いに関する考え方やルールが異なります。退会と同時に全ての個人特定可能なデータを消去する場合もあれば、そうではない場合もあります。
そのため、「退会」だけでは、ご自身の遺伝子データの一部または全てが、サービス提供者のデータベースに残る可能性があるのです。
遺伝子データを完全に消去してもらうには?「消去依頼」について
もし、サービス提供者が保管しているご自身の遺伝子データを完全に消去してもらいたい、とお考えであれば、「退会」とは別に「データ消去」や「個人情報削除」といった手続きが必要になる場合があります。
これは、個人情報保護法という法律に基づき、サービス提供者に対してご自身の個人データの消去を求めることができる権利があるためです。ただし、先述したように、全てのデータが消去の対象となるわけではありません。個人を特定できないように加工された情報や、法令に基づき保管が義務付けられている情報などは、消去の対象外となることが一般的です。
では、具体的にどのように消去を依頼すれば良いのでしょうか。
データ消去を依頼する具体的な手続き
遺伝子データの消去を依頼するための具体的な方法は、サービス提供者によって異なります。以下のステップで確認してみましょう。
- サービス規約やプライバシーポリシーを確認する: まず、利用されている遺伝子検査サービスの「利用規約」や「プライバシーポリシー」をご確認ください。これらの書類には、個人情報の取り扱いに関する方針や、データ消去に関する手続きについて記載されていることがほとんどです。特に、「個人情報の開示、訂正、利用停止、消去」といった項目を探してみてください。
- 依頼方法を見つける: 規約やポリシーの中に、データ消去を依頼するための具体的な方法(問い合わせフォーム、専用の申請ページ、メールアドレス、郵送先など)が記載されているはずです。
- 記載された方法に従って依頼する: 見つけた方法に従い、データ消去を依頼します。この際、本人確認のために氏名や登録情報などの提示を求められることがあります。これは、第三者からのなりすましを防ぎ、ご自身のデータを守るために必要な手続きです。
- 依頼内容と対象を確認する: 依頼する際には、「遺伝子データを含む、個人特定可能な情報の消去を希望する」という内容を明確に伝えます。サービス提供者によっては、消去の対象となるデータと対象外となるデータについて説明がある場合がありますので、内容をよく確認することが大切です。
不明な点があれば、遠慮なくサービス提供者に問い合わせてみましょう。誠実に対応してくれるかどうかも、そのサービスへの信頼を判断する一つの材料になります。
データ消去を依頼する前に知っておきたいこと
データ消去を依頼する前に、いくつか注意しておきたい点があります。
- サービスが利用できなくなる: 遺伝子データが消去されると、当然ながら、以前に受け取った検査結果をウェブサイトやアプリで確認したり、その後のアップデートサービスを利用したりすることができなくなります。もし将来的に結果を見返したい可能性がある場合は、消去依頼は慎重に検討する必要があります。
- 完全に全てのデータが消えるわけではない: 繰り返しになりますが、個人を特定できないように加工された統計データや、法令で保管が義務付けられている一部の情報などは、消去の対象外となることが一般的です。これは不当な扱いではなく、多くのサービスで採用されている方法です。
- 消去までの時間: 消去依頼をしてから実際にデータが削除されるまでには、一定の時間がかかる場合があります。サービス提供者からの案内に従ってください。
まとめ:あなたのデータを守るために
遺伝子データをどのように扱うかは、ご自身で選択することができます。サービスの「退会」とデータの「消去」は必ずしも同じではなく、データを完全に手元から離したい場合は、別途「データ消去」の手続きが必要になる場合があることをご理解いただけたでしょうか。
もしデータ消去をご希望の場合は、まずはご利用サービスの規約やプライバシーポリシーを確認し、定められた方法で手続きを進めることが大切です。そして、消去によってサービス利用ができなくなること、全てのデータが消えるわけではないことを理解した上で、ご自身の判断で進めてください。
ご自身の遺伝子データは非常に大切な個人情報です。その取り扱いについて不明な点があれば、サービス提供者に問い合わせるなど、主体的に情報を確認し、納得した上でサービスを利用・管理していくことが、安心につながります。