遺伝子データ活用Q&A:私の遺伝子データは広告やおすすめ表示に使われる?どうすれば?
遺伝子検査を受けてみようかな、でも自分の遺伝子データが後で勝手に使われてしまうんじゃないか、特にインターネットでよく見る「あなたへのおすすめ」のような広告に使われるのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、あなたの遺伝子データがサービスの広告やおすすめ表示にどのように関連する可能性があるのか、そしてどのように扱われるのが一般的なのか、さらにはご自身でできる対策について、分かりやすくご説明します。
遺伝子データは直接、広告に使われることはあるのでしょうか?
多くの場合、あなたが検査会社に提供した個人を特定できる形での遺伝子データが、そのまま直接的に、あなた個人に向けた広告やおすすめ表示のために使われる可能性は低いと考えられます。
信頼できる多くの遺伝子検査サービスでは、利用規約やプライバシーポリシーの中で、個人を特定できる遺伝子データの取り扱いについて厳重なルールを定めています。サービス提供の目的(検査結果の提供など)や、あなたが別途同意した目的以外で、あなたのデータが無断で利用されることはありません。
ただし、「サービスの改善」や「新しいサービス開発のための研究」といった目的のために、あなたのデータが活用される可能性はあります。この「活用」の過程で得られた統計的な情報や、個人が特定できないように加工された情報が、間接的にサービスのマーケティング活動や、提携する製品・サービスに関する情報提供に利用されることはあり得ます。
「個人が特定できないように加工」されるとは、どういうこと?
遺伝子データが活用される際に「個人が特定できないように加工する」というのは、例えばあなたの遺伝子データから、氏名や生年月日、住所といったあなた個人を特定できる情報を取り除くことを指します。
さらに、たくさんの人の遺伝子データを集めて統計情報として扱うことが一般的です。例えば、「日本人の〇〇%の人が、特定の遺伝子タイプを持っています」といった傾向分析に使われます。このような統計情報からは、特定の個人が誰であるかを特定することはできません。
また、「匿名加工情報」と呼ばれる、特定の個人を識別できないように情報を加工し、元に戻すこともできないようにしたデータ形式で取り扱われる場合もあります。
このような加工が施された情報は、特定の個人を対象とするのではなく、あくまで集団の傾向を分析するために利用されることがほとんどです。そのため、加工された情報から「あなたが特定の製品に関心を持つ可能性が高い」といった形で直接的にターゲティングされることは非常に難しいと考えられます。
どのような場合に、データがマーケティングに関連する形で使われる可能性がありますか?
直接的な個人特定型の広告利用は少ないとご説明しましたが、以下のような形で、データ活用が広い意味でのマーケティングや情報提供に繋がる可能性はあります。
- サービスの機能改善や新サービス開発: 多くのユーザーのデータを統計的に分析し、より役立つ検査項目を追加したり、新しい解析サービスを開発したりします。この新サービスに関する情報が、あなたに「お知らせ」として届くことはあり得ます。
- 提携企業との連携: サービスによっては、特定の遺伝子傾向を持つ人向けに開発されたサプリメントや化粧品などのメーカーと提携している場合があります。あなたのデータ(個人が特定できないよう加工されたもの)から得られた知見が、提携企業での製品開発や情報提供に活用されることはあります。ただし、ここでも個人を特定できるデータが直接提供されるわけではありません。
- パーソナライズされた情報提供(広告ではない): 検査結果に基づいて、「あなたの遺伝子タイプに関連する最新の研究結果」や「おすすめの生活習慣」といった情報を提供する機能があります。これはサービスの一環であり、広告とは異なりますが、あなたのデータに基づいた情報提供と言えます。
これらの利用は、通常、あなたがサービスを申し込む際の規約やプライバシーポリシーに記載され、同意の上で行われます。
自分の遺伝子データがマーケティングに使われるのを避けたい場合、どうすれば良いですか?
ご自身の遺伝子データの取り扱いについて、より安心してサービスを利用するために、いくつかの対策を取ることができます。
- 利用規約とプライバシーポリシーをよく読む:
- サービスの利用目的、特に「データの活用」「第三者提供」「匿名加工情報の取り扱い」といった項目をしっかり確認しましょう。難しい言葉が並んでいることもありますが、「どのような目的でデータが使われるのか」「個人を特定できないように加工されるのか」「他の会社にデータが提供されることがあるのか」といった点を中心に読むと良いでしょう。
- 同意の選択肢を確認する:
- サービスによっては、検査結果を受け取るためだけの利用に同意すれば良い場合と、今後の研究開発や提携サービスへの情報提供といった追加の活用にも同意するかどうかを選べる場合があります。不要な活用目的への同意はしない、という選択肢がないか確認しましょう。
- オプトアウトの可能性を確認する:
- 一部のサービスでは、匿名化された統計情報としての利用など、特定のデータ活用について、後から「やっぱり自分のデータは使ってほしくない」と意思表示できる仕組み(これを「オプトアウト」と呼びます)を提供している場合があります。利用規約やサービスのマイページなどで、このような仕組みがないか確認してみましょう。
- 信頼できるサービスを選ぶ:
- プライバシー保護への取り組みを明確にしているか、個人情報保護に関する外部認証などを取得しているかなども、サービスを選ぶ際の参考になります。
まとめ
あなたの遺伝子データが、個人を特定できる形でそのまま広告やおすすめ表示のために使われる可能性は低いと考えられます。しかし、統計情報や匿名化された情報が、サービスの改善や関連情報提供のために活用されることはあり得ます。
大切なのは、サービスを利用する前に利用規約やプライバシーポリシーをよく確認し、どのような目的であなたのデータが扱われるのかを理解することです。多くのサービスは、あなたのプライバシーを守るために様々な対策を講じていますし、ご自身でデータ利用に関する同意の範囲を選んだり、後から利用を停止する手続き(オプトアウト)ができる場合もあります。
不明な点があれば、サービス提供元の問い合わせ窓口に遠慮なく質問してみることも、安心してサービスを利用するための一歩となります。