遺伝子データ活用Q&A:私の遺伝子データ、いつまで保管されるの?
遺伝子検査を検討されている方や、すでに検査を受けた方にとって、「自分の遺伝子データが検査会社でいつまで保管されるのだろうか?」という疑問や、それに伴う漠然とした不安は、大変自然なことだと思います。
大切なご自身の情報である遺伝子データが、どのように扱われ、どれくらいの期間保管されるのかを知ることは、安心につながる第一歩です。この記事では、遺伝子データの保管期間について、分かりやすくご説明します。
遺伝子データの保管期間は「サービス提供会社」が定めます
遺伝子検査サービスは、医療行為ではなく、基本的に消費者が健康管理や体質理解のために利用するものです。そのため、医療機関の診療録のように、法律で「何年間保管しなければならない」と厳格に定められているわけではありません。
では、誰が保管期間を決めるのでしょうか?それは、サービスを提供している各検査会社です。それぞれの会社が、サービスの内容や事業上の必要性、プライバシー保護の方針に基づいて、保管期間を独自に定めています。
具体的な保管期間はどこで確認できるの?
サービス提供会社が定める保管期間は、主に以下の書類に記載されています。
- 利用規約
- プライバシーポリシー(個人情報保護方針)
これらの書類には、どのような目的で、どれくらいの期間、データが保管されるのかといった重要な情報が含まれています。遺伝子検査を申し込む前や利用中に、これらの書類を確認することが非常に大切です。
ただし、これらの書類は専門的な言葉で書かれていることもあり、少し分かりにくいと感じるかもしれません。もし記載内容について疑問があれば、遠慮なくサービス提供会社に問い合わせてみることをお勧めします。
一般的に、どのくらいの期間保管されることが多いですか?
保管期間は会社によって異なりますが、いくつかのパターンが考えられます。
- サービスを提供し続ける期間: 検査結果の確認や再解析サービス、新しい情報提供などを利用できるよう、サービス利用期間中はデータが保管されるケースがあります。
- 特定の年数: 例えば、数年間と具体的な年数を定めている会社もあるかもしれません。
- 退会まで: お客様がサービスを退会するまで保管するという方針の会社もあります。
- 匿名化されたデータ: 後ほど詳しく触れますが、個人を特定できないように加工されたデータ(匿名加工情報などと呼ばれます)については、統計分析や研究開発のために、長期的に保管・活用される可能性があります。
ご自身のデータがどのパターンにあてはまるかは、必ずご利用のサービスの規約等でご確認ください。
保管期間中、私のデータは安全に守られているの?
サービス提供会社は、お客様からお預かりした大切な遺伝子データを、不正アクセスや紛失、破壊、漏洩などから守るために、様々なセキュリティ対策を講じています。例えば、
- データを保管しているコンピューターシステムへのアクセス制限
- データの暗号化
- 定期的な監視や監査
などが考えられます。どのような対策が行われているかについても、プライバシーポリシーなどに記載されている場合があります。気になる場合は、会社のウェブサイトを確認したり、問い合わせてみたりすると良いでしょう。
保管されているデータは、勝手に使われてしまうの?
サービス提供会社がお客様の遺伝子データを保管している間も、そのデータの利用はお客様が同意した範囲内に限られます。
例えば、「検査結果をお返しするため」「より精度の高い解析を提供するため」「サービスの改善のため」といった、お客様が最初に同意した目的に沿ってデータは利用されます。
もし、お客様の遺伝子データが、サービス提供や品質向上の目的を超えて、例えば新しい研究開発に使われるといった場合には、原則として個人が特定できないように加工された匿名加工情報として利用されます。匿名加工情報とは、簡単に言うと、「元のデータから特定の個人を判別できないように、氏名や住所などを削除したり、他の情報と組み合わせても個人が分からないように加工した情報」のことです。
匿名加工情報として利用される場合でも、通常は事前にその可能性について利用規約などで説明があり、お客様が同意した範囲で行われます。
保管されているデータについて、自分で何かできることはある?
ご自身の遺伝子データの保管や利用について、不安を感じる場合や、方針を変えたいと思った場合には、いくつかの手段があります。
- 同意の撤回: 多くのサービスでは、一度研究利用などに同意した場合でも、あとから同意を撤回できる仕組みがあります。同意を撤回すると、それ以降は同意した目的でのデータ利用は停止されます。
- データの消去: サービス提供会社に、ご自身の遺伝子データや解析結果の消去を依頼できる場合があります。ただし、サービスの継続に必要なデータは消去できない、といった条件があることもありますので、規約をご確認ください。
- 退会: サービス自体を退会することで、関連するデータの保管や利用を停止することができます。ただし、退会後のデータの扱い(完全に消去されるのか、一定期間保持されるのかなど)は会社によって異なりますので、事前に確認が必要です。
これらの手続きについても、各サービスの利用規約やウェブサイトに説明がありますので、ご確認ください。
まとめ:大切なのは「知ること」と「選ぶこと」
遺伝子データの保管期間は、サービス提供会社によって異なります。ご自身のデータがいつまで、どのように保管されるのかを知るためには、利用規約やプライバシーポリシーを確認することが最も確実な方法です。
もし記載内容が不明瞭だったり、不安を感じたりする場合は、サービス提供会社に問い合わせてみましょう。信頼できる会社であれば、誠実に答えてくれるはずです。
また、ご自身のデータの保管や利用に関して、ご自身でコントロールできる手段(同意撤回、消去、退会など)があることを知っておくことも大切です。これらの選択肢を理解しておくことで、より安心してサービスを利用したり、必要に応じて適切な行動をとったりすることができるでしょう。
ご自身の遺伝子データとどのように向き合うか、納得のいく形で判断するための一助となれば幸いです。