遺伝子データ活用Q&A:検査した遺伝子情報は会社に伝わるの?
遺伝子検査に興味はあるけれど、「自分の遺伝子データが会社に知られてしまうのではないか」と、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。採用や人事評価に影響があるのではないか、といった心配もあるかもしれません。
遺伝子データは非常に個人的な情報であり、その取り扱いについては多くの方が関心を持っています。ここでは、遺伝子検査で分かったことが会社に伝わる可能性について、知っておきたい情報をお伝えします。
遺伝子検査で分かったことは会社に伝わる?原則は「いいえ」です
まず結論から申し上げますと、あなたが遺伝子検査サービスを利用して得られた遺伝子データや解析結果が、原則としてあなたの同意なく会社に伝わることはありません。
なぜ、そう言えるのでしょうか。それには、日本の法律や多くの遺伝子検査サービスが採用しているルールが関係しています。
- 個人情報保護法での位置づけ: 遺伝子データは、病気にかかるリスクなど、非常にデリケートな情報を含んでいます。日本の個人情報保護法では、このような情報を「要配慮個人情報」(特に慎重な取り扱いが必要な個人情報)と定めています。要配慮個人情報については、原則として、ご本人の同意がなければ第三者(この場合、会社など)に提供することはできません。
- 遺伝子検査サービスの規約: 多くの信頼できる遺伝子検査サービスでは、お客様からお預かりした遺伝子データや解析結果を、ご本人の明確な同意なく第三者に開示・提供しないことをプライバシーポリシーや利用規約で定めています。これは、お客様のプライバシーを守るための重要な約束事です。
これらのことから、あなたが特定の会社にあなたの遺伝子データを教えることに同意しない限り、サービス提供者が一方的に会社にデータを提供することは、法律上も契約上も認められていません。
会社があなたの遺伝子データを知る可能性があるケースとは
原則として会社に伝わることはない、とお伝えしましたが、例外的に会社があなたの遺伝子データを知る可能性が考えられる状況もあります。
- あなたが自ら会社に伝える場合: 例えば、健康診断の結果として遺伝子検査の結果を任意で提出したり、自己紹介や面談の中でご自身の遺伝子検査について話したりするなど、あなた自身の意思で会社に情報を提供した場合です。これはサービス提供者が情報を漏らすということではなく、あなた自身が情報公開を選択したケースにあたります。
- 会社が採用活動などで遺伝子検査の結果提出を求めることは?: 現在の日本では、企業が採用活動や雇用において、応募者や従業員に遺伝子検査の結果提出を義務付けたり、遺伝子情報を収集・利用したりすることは、一般的ではありません。また、遺伝情報に基づく不当な差別につながる可能性があることから、倫理的な問題も指摘されています。もし、万が一そのような要求があった場合でも、応じる必要はありません。
あなたの遺伝子データを守るためにできること
あなたのプライバシーを守り、安心して遺伝子検査サービスを利用するために、いくつかご自身で確認できることがあります。
- 信頼できるサービスを選ぶ: 提供会社の運営実績やプライバシー保護に対する考え方、セキュリティ対策などを事前に確認することが大切です。
- 利用規約やプライバシーポリシーを確認する: サービスを申し込む際には、提供会社の利用規約やプライバシーポリシーに目を通すようにしましょう。特に、「個人データの第三者提供」に関する項目は、どのようにあなたのデータが扱われるかを知る上で重要です。(第三者提供とは、サービス提供者以外の事業者にデータを提供する行為のことです。)専門的な言葉が多くて分かりにくいと感じるかもしれませんが、「あなたのデータを他の会社に勝手に渡さないか」「渡す場合はどのような目的で、どのような同意が必要か」といった点が読み取れるかを確認してみてください。
- データ利用に関する同意について理解する: サービスによっては、サービスの改善や研究開発のために、個人が特定できない形に加工した上で、あなたの遺伝子データを活用することへの同意を求められる場合があります。このような同意について、どのような仕組みになっているのか(例:オプトイン - 事前に同意しないと利用されない、オプトアウト - 事前に同意が必要だが、後から利用停止を申し出ることができる、など)を確認しておくと良いでしょう。同意は任意であり、同意しないことによるサービス利用への影響なども規約に記載されていることが多いです。
- 不審な勧誘や要求には応じない: 遺伝子データに関する不審な問い合わせや、会社などからの強引な要求には、安易に応じないようにしましょう。
まとめ
遺伝子検査サービスを利用して得られたあなたの遺伝子データは、原則として、あなたの同意なく会社を含む第三者に伝わることはありません。個人情報保護法や多くのサービスの規約によって、あなたのプライバシーは守られています。
しかし、ご自身でサービス規約を確認したり、信頼できるサービスを選んだりすることで、より安心して遺伝子検査を利用することができます。遺伝子データ活用に関する正しい知識を持ち、適切な注意を払うことが、あなたのプライバシーを守る上でとても大切です。