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遺伝子検査したら、どんな商品やサービスを勧められる?データ利用の仕組みと安心ポイント

Tags: 遺伝子検査, プライバシー, データ活用, おすすめ表示, 個人情報保護

遺伝子検査を受け取った後、関連する健康食品やサプリメント、フィットネスプログラムなどの情報が届いたり、おすすめとして表示されたりすることがあります。これを見て、「私の遺伝子情報に基づいて勧められているのかな?」「勝手にデータが使われているのでは?」と心配に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、なぜ遺伝子情報に基づいた商品やサービスの推奨が行われるのか、その仕組みと、プライバシーに配慮しながら安心して情報に触れるためのポイントについてお話しします。

なぜ遺伝子情報に基づいて商品やサービスが勧められるの?

遺伝子検査サービスを提供する企業は、利用者の皆様に役立つ情報や新たな価値を提供するために、取得した遺伝子データを活用することがあります。商品やサービスの推奨もその一つです。

これは、あなたの遺伝子情報「だけ」を見て勧められている、というよりは、多くの人の遺伝子情報と、その人たちの傾向(例えば、特定の遺伝子パターンを持つ人がどのような健康食品に関心を持つか、など)を組み合わせて分析し、「このような遺伝子情報を持つ方には、このような情報が役立つ可能性が高い」と判断して行われることが一般的です。

これにより、一人ひとりの特徴により合った、パーソナルな情報提供や提案が可能になります。企業にとっては、より効果的に商品やサービスを届けられるという目的もあります。

データはどのように使われているの?個人を特定されない?

このような推奨のために遺伝子データが使われる場合、多くの企業は、個人を特定できないように加工したデータ(これを「匿名加工情報」などと呼びます)を利用します。これは、個人情報保護法などのルールにのっとり、利用者のプライバシーを守るための重要な取り組みです。

具体的には、あなたの名前や住所といった直接個人を特定できる情報は切り離され、さらに遺伝子情報自体も、単独では個人が特定できないように、他の多くの人たちのデータとまとめて統計的に処理されたり、細かく分割されて傾向分析に使われたりします。

これにより、例えば「〇〇という遺伝子パターンを持つ人のうち、△△%が特定の栄養成分に関心を示している」といった集計された情報を基に、関連する商品やサービスが提案されます。あなたの遺伝子データが、個人が特定できる形で特定の企業や第三者に勝手に提供され、それによってあなた個人に直接営業が来る、ということは原則としてありません。

ただし、「匿名加工情報」であっても、絶対に個人が特定されないと断言することは技術的に難しい場合もあります。そのため、サービス提供企業は、データを厳重に管理し、アクセスできる人を限定するなど、様々なセキュリティ対策を講じて、リスクを最小限にする努力をしています。

不安を解消するために、私たちができること

遺伝子情報に基づいた推奨について、ご自身のデータがどのように扱われているのかを知り、安心して利用するために、いくつか確認しておきたいポイントがあります。

  1. サービス利用時の「同意」内容を確認する: 遺伝子検査サービスを申し込む際には、必ずプライバシーポリシーや利用規約に同意を求められます。ここに、あなたの遺伝子データがどのような目的(研究開発、サービス改善、提携企業への情報提供など)で、どのように(匿名加工して利用するなど)活用される可能性があるのかが具体的に記載されています。難しい言葉が多いかもしれませんが、特に「個人情報の利用目的」「第三者提供」「個人情報の取り扱い」といった項目を注意深く読んでみることをお勧めします。もし分からない点があれば、サービスの問い合わせ窓口に遠慮なく質問してみましょう。
  2. 「おすすめ」表示の設定を確認する: 多くのサービスでは、メールでの情報配信やアプリ内での推奨表示について、受け取るかどうかをご自身で設定できる「オプトアウト」の仕組みを用意しています。「マイページ」や「設定」などのメニューに、そのような項目がないか確認してみてください。必要なければ、これらの情報提供を停止したり、表示をカスタマイズしたりすることが可能な場合があります。
  3. データ管理の権利を知っておく: 個人情報保護法では、私たちには自分のデータについて、その利用目的を知る権利、訂正を求める権利、そして利用の停止や消去を求める権利が認められています。遺伝子データも個人情報の一部として、これらの権利の対象となり得ます。もし、ご自身のデータが意図しない形で利用されているかもしれないと感じたり、単に推奨を受け取りたくないと思ったりした場合は、サービスの規約を確認するか、問い合わせ窓口に連絡して、データ利用の停止や、関連する情報提供の停止を依頼できるか相談してみることも一つの方法です。

まとめ

遺伝子検査後に商品やサービスが勧められるのは、あなたの遺伝子データを多くの人々のデータと組み合わせて分析し、よりパーソナルな情報提供を目指す企業の取り組みの一環として行われます。その際、多くの場合は個人が特定されないように加工されたデータが利用され、プライバシー保護のための対策が講じられています。

ご自身のデータがどのように活用されるのか不安を感じる場合は、サービス契約時の規約を改めて確認したり、推奨表示の設定を変更したり、データ利用の停止をサービス事業者に相談したりすることが可能です。

遺伝子データの活用は、私たちに役立つ多くの可能性を秘めていますが、同時にデータの取り扱いに対する不安を持つことも自然なことです。提供される情報を鵜呑みにせず、ご自身で情報を確認し、納得した上でサービスを利用することが、安心して遺伝子データと向き合うための大切なステップと言えるでしょう。