遺伝子データ活用Q&A：企業による遺伝子データの利用、どんな目的で使われる？プライバシーは守られる？
この記事では、遺伝子データが企業によってどのように利用される可能性があるのか、そしてその際に皆さんのプライバシーがどのように守られているのかについて、分かりやすくお話しします。
遺伝子検査サービスを利用するにあたり、「私のデータが企業に渡って、何か都合の悪い使われ方をするのでは…？」と、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ご自身の遺伝子データがどのように扱われるのかを知ることは、安心してサービスを利用するためにとても大切です。
企業が遺伝子データを「利用する」って、具体的に何に使うの？
遺伝子データを提供する企業の主な目的は、皆さんが利用されている検査サービスを提供し、より良くしていくことです。それ以外にも、皆さんのデータを活用することで、新しいサービスや製品の開発、あるいは病気の研究などに役立てようとする場合があります。
ただし、皆さんの遺伝子データは非常に大切な情報です。企業がこれを他の目的で利用する場合、いくつかのルールや仕組みがあります。
- サービスの改善や新しい機能の開発: 例えば、「このような特徴を持つ人は、この検査結果が出やすい傾向がある」といった集計データを分析することで、検査結果の精度を高めたり、新しい解析サービスを開発したりすることが考えられます。
- 研究開発: 遺伝子データは、病気の原因解明や新しい治療法の研究など、医学や科学の進歩に大きく貢献する可能性があります。企業が大学や研究機関と協力して研究を行う場合もあります。
- 新しい製品やサービスの開発: 遺伝子検査の結果と関連する健康食品や美容製品などの開発に役立てられることもあります。
重要なのは、これらの目的で皆さんのデータが使われる場合、多くの場合、皆さんの個人が特定できないように加工された状態（匿名加工情報など）で利用されるということです。「匿名加工情報」とは、文字通り、氏名や住所といった情報を取り除き、さらに他の情報と組み合わせても特定の個人を識別できないように加工された情報のことです。この状態であれば、個人のプライバシーを守りながら、集計データとして傾向を分析したり、統計情報として活用したりすることが可能になります。
皆さんの遺伝子データが、皆さんの同意なく、直接的に「〇〇さん（あなたの名前）はこういう特徴があるから、この商品を強くお勧めする」といった個人的なターゲティング広告に使われるようなことは、法律や各社の規約で厳しく制限されています。
企業による遺伝子データの利用は、どんなルールで守られているの？
皆さんの遺伝子データは、法律やサービス提供会社の規約によって保護されています。
- 個人情報保護法: 日本の個人情報保護法では、遺伝子データは「要配慮個人情報（ようはいりょこじんじょうほう）」という、特に慎重な取り扱いが必要な情報として定められています。企業が皆さんの遺伝子データを取得したり、利用したりする際には、原則として皆さんの同意が必要です。また、法律で定められた目的以外で利用したり、同意なく第三者に提供したりすることは禁じられています。匿名加工情報として利用する場合にも、法律で定められた作成ルールや情報公開の義務があります。
- 各社の利用規約・プライバシーポリシー: 遺伝子検査サービスを提供している各社は、自社の利用規約やプライバシーポリシーの中で、皆さんの遺伝子データをどのような目的で、どのように取り扱うのかを具体的に定めています。皆さんがサービスを利用する際に同意するのは、これらの規約やポリシーの内容に対してです。データがどのように利用されるか（匿名化されるのか、研究に使うことがあるのかなど）、第三者に提供することがあるのか（どのような場合に、どのような形で提供するのか）といった重要な情報が記載されています。
これらの法律や規約があることで、企業は皆さんの遺伝子データを無制限に自由に利用できるわけではありません。皆さんの同意に基づき、定められた範囲内で慎重に扱うことが求められています。
不安を減らすために、私たちができることは？
企業による遺伝子データの利用について不安を感じる場合、皆さんがご自身でできることもあります。
- サービスの規約やプライバシーポリシーを読む: サービスを申し込む前に、必ず利用規約やプライバシーポリシーを確認しましょう。特に「個人情報の取り扱い」「データの利用目的」「第三者提供」といった項目に注目してください。もし内容が分かりにくければ、利用を検討している会社に問い合わせてみることも大切です。
- 利用目的を理解し、同意する: サービスを利用する際に求められる同意は、企業が皆さんのデータをどのような目的で利用することに許可を与えるかということです。同意する内容をよく理解しましょう。
- 疑問があれば問い合わせる: データがどのように使われるのか、匿名化はどのように行われるのかなど、不安や疑問があれば、サービスのサポート窓口に問い合わせてみましょう。信頼できる回答が得られるかどうかも、サービス選びの一つの基準になります。
- データの取り扱いに関する自身の権利を知る: 多くのサービスでは、データの開示や訂正、利用停止、削除などを求める権利が認められています。万が一、データが同意していない目的で使われている疑いがある場合などに、これらの権利を行使できることを覚えておくと良いでしょう。
まとめ
企業が皆さんの遺伝子データをサービスの提供や改善、あるいは研究開発などに利用することはありますが、多くの場合、皆さんの同意のもと、個人が特定できないように加工された「匿名加工情報」として慎重に扱われます。
日本の個人情報保護法や各サービス提供会社の規約によって、皆さんの遺伝子データは保護されています。これらのルールがあることで、企業は皆さんのデータを無制限に使うことはできません。
ご自身の遺伝子データがどのように扱われるのかを理解し、提供するサービスの規約などを確認することは、安心して遺伝子データ関連のサービスを利用するためにとても役立ちます。もし不安な点があれば、サービス提供会社に積極的に問い合わせてみましょう。