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遺伝子データ活用Q&A:匿名加工情報って何?私のデータは特定されないの?

Tags: 遺伝子データ, プライバシー, 匿名加工情報, 個人情報保護, データ活用

遺伝子データが「匿名加工情報」として活用されるって、どういうこと?

遺伝子検査サービスなどを利用する際に、「あなたの遺伝子データは匿名加工情報として研究などに活用されることがあります」といった説明を目にすることがあります。この「匿名加工情報」という言葉、聞いたことはあるけれど、具体的にどういうものなのか、そして自分の大切な遺伝子データが特定されたりしないか、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、遺伝子データが「匿名加工情報」として使われる仕組みと、その安全性について、できるだけ分かりやすくご説明します。

「匿名加工情報」とは? 個人を特定できないようにする工夫

まず、「匿名加工情報」がどのようなものかをご説明します。これは、簡単に言うと「特定の個人が誰であるかをすぐに判断できないように、様々な工夫をして加工された情報」のことです。

皆さんの遺伝子データには、名前や住所といった直接個人を特定できる情報はもちろん、生年月日や性別、検査IDといった情報も含まれています。そのままでは、これらの情報と遺伝子データを組み合わせることで、「これは誰さんのデータだ」と分かってしまう可能性があります。

そこで、「匿名加工情報」を作る際には、法律に基づいて以下のようないくつかの方法でデータを加工します。

このような加工を行うことで、元の遺伝子データが「誰か特定の人のデータだ」とすぐに分からなくするのです。

なぜ「匿名加工情報」にする必要があるの?

なぜ、わざわざ個人を特定できないように加工する必要があるのでしょうか?それは、皆さんの遺伝子データを病気の研究や新しい医薬品の開発など、社会全体の役に立つために活用したいからです。

しかし、個人の大切な遺伝子データをそのまま不特定多数の研究機関などに提供することは、皆さんのプライバシーに関わるため、慎重に行う必要があります。

そこで、「匿名加工情報」として提供することで、個人のプライバシーを守りながら、多くの人々のデータを集めて分析し、病気の原因解明や予防法の発見といった公共性の高い目的のために活用することが可能になります。これは、皆さんのデータが将来の医療や健康に貢献することにつながる仕組みと言えます。

「匿名加工情報」にしたら、本当に特定されないの?

法律に基づき、個人を特定できないように厳重な加工が施されます。また、匿名加工情報を取り扱う事業者には、特定の個人を識別するために他の情報と照合することや、元の個人情報を復元するような加工をすることは法律で禁止されています。

ただし、情報が絶対に特定されないと断言することは、どんなデータでも難しいのが現状です。技術の進歩により、思わぬ方法で情報が結びつけられてしまう可能性もゼロとは言えません。

だからこそ、匿名加工情報を作成・利用する事業者には、データの漏洩を防ぐためのセキュリティ対策や、万が一特定されてしまった場合の対応など、厳しい安全管理措置が義務付けられています。国も個人情報保護委員会などを通じて、事業者が法律やガイドラインを守っているかを監督しています。

信頼できるサービス提供者は、このような法律やガイドラインを遵守し、皆さんのデータが安全に扱われるよう最大限の努力をしています。

どうすれば安心して利用できるの?

遺伝子検査サービスなどを利用する前に、以下の点を意識することで、より安心してデータを提供できるでしょう。

まとめ

遺伝子データが「匿名加工情報」として活用される仕組みは、個人のプライバシーに配慮しながら、皆さんのデータが社会全体の医療や研究に役立てられるためのものです。

個人を特定できないように厳しい加工が施され、法律に基づいた安全管理が行われています。完全にリスクがゼロとは言い切れませんが、提供者側も利用者側も、仕組みを理解し、適切な対策や情報確認を行うことで、より安心してサービスを利用することができるでしょう。

ご自身の遺伝子データがどのように扱われるのかに関心を持ち、理解を深めることが、安心して遺伝子データ活用を進める第一歩となります。