遺伝子データの提供同意、あとから撤回できるの?手続きと注意点を解説
遺伝子データの提供同意、あとから撤回できるの?
遺伝子検査を受けたり、データを提供したりする際に、「同意します」というボタンを押すことがあります。でも、後から「やっぱり自分のデータを研究などに使われるのはやめたいな」「提供をやめたいな」と感じることもあるかもしれません。
一度同意した遺伝子データの提供や利用について、後から同意を撤回したり、提供を停止したりすることはできるのでしょうか。この疑問について、丁寧にご説明します。
同意は「いつでも撤回できる」が基本的な考え方です
結論から言うと、一度行った同意を後から撤回することは基本的に可能です。
私たちの個人情報、そして特に慎重な扱いが求められる遺伝子のような情報は、「自分のもの」として、自分でその利用のされ方を選ぶ権利(自己情報コントロール権)が大切にされています。
日本の「個人情報保護法」という法律でも、個人情報の利用目的について、本人がいつでも同意を撤回できる、という考え方が基本となっています。遺伝子データも個人情報の一つとして扱われるため、この考え方が当てはまります。
遺伝子データを提供するサービスの多くは、利用規約やプライバシーポリシーの中で、同意の撤回やデータ利用停止に関する手続きについて定めています。
同意を撤回・停止するための具体的な方法
では、実際に同意を撤回したり、データの提供を停止したりしたい場合、どのようにすれば良いのでしょうか。具体的な方法は、利用しているサービスによって異なりますが、一般的には以下のような流れになります。
- 利用規約やプライバシーポリシーを確認する: まず、そのサービスが定めている規約を確認してください。「同意の撤回」「個人情報の開示・訂正・削除」「利用停止」といった項目が記載されていることが多いです。ここに、手続きの方法や連絡先が書かれています。
- サービス提供者に連絡する: 規約に記載されている窓口(問い合わせフォーム、メールアドレス、電話番号など)に連絡し、同意を撤回したい、データの利用を停止してほしい、という希望を伝えます。
- 求められた手続きを行う: サービスによっては、本人確認のために氏名や登録情報などを伝える必要がある場合があります。案内に従って手続きを進めてください。
サービスによっては、ウェブサイト上のアカウント設定画面から、データ利用に関する同意設定を変更できる場合もあります。まずは、利用中のサービスの公式な情報をご確認いただくことが大切です。
同意を撤回・停止した場合、データはどうなるの?
同意を撤回したり、データの利用停止を依頼したりした場合、提供済みの遺伝子データはどのように扱われるのでしょうか。
これもサービスの規約によって異なりますが、通常は以下のいずれかの対応がとられます。
- データの削除: サービス提供者が保管しているあなたの遺伝子データそのものを削除します。削除されたデータは、そのサービスでは利用できなくなります。
- 利用停止(研究等への不利用): データそのものはサービス提供者のシステムに残る場合でも、同意を撤回した利用目的(例:新しいサービスの開発のための研究)には使われなくなります。サービス本来の提供(例:健康情報の表示)に必要な範囲でのみ利用が続けられることがあります。
サービスによって対応が異なりますので、規約で「同意撤回後のデータの扱い」について確認するか、サービス提供者に直接問い合わせて確認することをおすすめします。
同意撤回・停止でサービス利用に影響はある?
同意を撤回したり、データの利用を停止したりすることが、現在利用しているサービスに影響するかどうかは、どの「利用目的」に対する同意を撤回するかによります。
- サービス提供に不可欠な利用への同意撤回: 例えば、「あなたの遺伝子情報を使って、体質に関するレポートを表示する」という、サービスそのものの根幹に関わる利用への同意を撤回した場合、そのサービスが利用できなくなる可能性があります。
- サービス改善や研究開発などへの同意撤回: 「あなたのデータを個人が特定できない形にして、新しいサービス開発のための研究に利用する」といった、サービスの基本機能とは別の目的での利用への同意を撤回した場合、サービスの基本機能は引き続き利用できることが多いです。
多くのサービスでは、研究開発などへのデータ利用については、同意の撤回やオプトアウト(利用しない選択)ができるようになっています。これにより、基本サービスは利用しつつ、特定の目的でのデータ利用のみを停止することが可能です。
注意しておきたいこと
- 撤回できる範囲: サービスの規約によっては、一度同意したデータの利用目的のうち、一部のみ撤回可能で、サービス提供に最低限必要な利用は撤回できない、となっている場合があります。
- 匿名化されたデータの扱い: すでにあなたのデータが、個人が特定できないように「匿名加工情報」として処理され、第三者(例:研究機関)に提供されてしまっている場合、その匿名加工情報からあなた個人を特定して削除することは技術的に非常に困難です。同意撤回は、今後のデータ利用に対して有効となるのが一般的です。
- 手続きにかかる時間: 同意撤回やデータ削除の手続きには、サービス提供者が対応するための時間がかかることがあります。
これらの点についても、サービスの規約を確認したり、問い合わせ窓口に確認したりすることで、より正確な情報を得ることができます。
まとめ:安心して利用するために
遺伝子データの提供に関する同意は、一度行っても後から撤回できることが一般的です。これは、あなたのデータを自分で管理する大切な権利です。
もし、データ利用について不安に感じることがあれば、まずは利用しているサービスの利用規約やプライバシーポリシーをご確認ください。同意の撤回やデータ利用の停止に関する方法が必ず記載されているはずです。
情報が分かりにくい場合や、さらに詳しく知りたい場合は、遠慮なくサービス提供者の問い合わせ窓口に質問してみることをおすすめします。
遺伝子データ活用サービスを安心して利用するためには、「自分のデータがどのように扱われ、そしてそれを自分でコントロールできるのか」を知ることが第一歩です。この記事が、あなたの疑問や不安を解消するための一助となれば幸いです。